ケアレスミスを防ぐ「魔法の1行」

 

数学の「魔法の1行」でケアレスミスを防ぐ

テストが返ってきたとき、「あ、ここ計算ミスしてた!」「本当は解けたのに……」と悔しい思いをした経験はありませんか?

 実は、数学のケアレスミスには「起こるべくして起こる理由」と、それを防ぐ「具体的な方法」があります。

今回は、中学数学で特に間違いやすいポイントを整理しながら、ミスを劇的に減らすノートの書き方について説明します。

1. 「うっかりミス」と「ケアレスミス」を分けて考える

まずは、ミスの種類を整理してみます。
今回は、あえて次の2つを別物として定義します。

うっかりミス:
8+6=15、7×6=46 といった、単純な計算そのものの間違いとします。
これらはどれだけ注意していても、ふとした瞬間に起こってしまうものです。

ケアレスミス:
「解き方の手順」や「書き方」に注意を払えば、確実になくすことができるミスのこととします。
注意すればなくなるミスということになります。

中学数学の計算には、このケアレスミスが特に出やすい「落とし穴」が決まっています。

テストでも、まさにその落とし穴を狙った問題が出題されるのです。

2. ミスの「魔のポイント」は分配法則にある

特にミスがおきるのは、「分配法則」を使った計算です。

例題:

(1) (a+3b)-3(ab)
a+6b-6a+3b 
a-6a+6b+3b 
-4a+9b      

この計算で多くの人がやってしまう間違いは、主に2つあります。

① かっこの中の数字に、外の数字をかけ忘れる。
(例:最後の項を3倍し忘れてb にしてしまう)

② かっこの前がマイナスのとき、中の符号を変え忘れる。
(例:+3bなのに -3b にしてしまう)

こうしたミスを防ぐためには、計算の「過程」をどう書くかが重要になります。

3. 「1行」を惜しまないことが正解への近道

多くの生徒は、計算に慣れてくると「途中の式」を省略しがちです。

例えば、次のようにいきなり項を並べ替えた式を書いていませんか?

多くの人が書きがちな過程(ミスしやすい例)

前述(1) (a+3b)-3(ab)の計算で考えてみます。

式を省略した計算過程
(2)
(a+3b)-3(ab)
= 2a-6a+6b+3b …②
= -4a+9b      …③

このように、かっこの展開()を飛ばして、いきなり並べ替え()から書くと、頭の中での処理が増えてミスが激増します。

ミスを減らすための「魔法の1行」は、「まずかっこを外しただけの状態」を書くことです。

ミスを防ぐ正しい過程

もし計算過程を短縮したいのであれば、項を並べ替える式()を省略し、から直接答え()を出す方が、実はミスは少なくなります。

の式が元の式のすぐ下にあれば、数字のかけ忘れや符号の間違いに、自分ですぐに気づくことができるからです。

式を省略した計算過程
(3)
(a+3b)-3(ab)
= 2a+6b -6a+3b …①
= -4a+9b       …③

これは中学1年生の文字式の計算でも全く同じことが言えます。

例題:
(1) (a+1)-2(a-5)
a+3 -6a+10 
a-6a+3+10 
-3a+13     

この計算過程も式を省略しないようにすることがケアレスミスをなくすことにつながります。

4. 間違えた後の「直し方」で実力が決まる

もし計算を間違えてしまったら、その後の対応が最も肝心です。

間違えた箇所だけを消しゴムで消して、数字を書き直していませんか?

実は、その直し方では次も同じミスを繰り返してしまいます。
「一からすべて書き直す」こと。
これが鉄則です。

正しい計算過程を最初から最後まで書き直すことで、正しい手順が「映像」として頭の中にインプットされ、記憶に定着します。

面倒に感じるかもしれませんが、この「急がば回れ」の精神こそが、ケアレスミスをゼロにする最強の武器なのです。

次の練習からは、ぜひこの「魔法の1行」を意識して、ノートを丁寧に作ってみてくだ